鍼灸治療は、自律神経失調症に最も効果のある治療法の1つです。また、薬のように副作用もなく、自分で自律神経をコントロールできるように促してあげる治療法でもあります。
もともと、鍼灸治療は馴染みのない方がほとんどかもしれません。また、肩こりやひざの痛みなど、お年寄りや痛みに対しておこなう治療だと思われる方も多いのではないでしょうか。
しかし、鍼灸治療は、本来、自律神経の働きを意図的に整えることができる治療法です。
WHO(世界保健機関)の伝統医学部門、鍼灸に関する報告書の「臨床試験によって有効性が証明された」という疾患・症状には、うつ症状、頭痛、頚部痛(首の痛み)、腰痛、吐き気、低血圧、高血圧などが明記されています。また、頭痛に対しては、日本頭痛学会のガイドラインの中で最も効果のある治療法の一つとして鍼灸治療があげられています。
自律神経失調症の患者さんは、心拍数が多くなっている傾向にあり、副交感神経抑制状態にあるといえます。鍼灸治療をおこなうことにより、治療中から心拍数が低下していきます。
腰痛は、平成25年 国民生活基礎調査の概況(世帯員の健康状況1 自覚症状の状況)では、男性で第1位、女性は僅差で第2位(第1位は肩こり)となっております。また、腰痛は、85%の人が異常なし、原因不明とされ、そのほとんどがストレスからくる過緊張とされています。この状況を前提に考えた時、腰の状態が改善されたということは、自律神経のバランスが整い、筋肉の過緊張が改善されたとも言えます。鍼灸治療をおこなうことによって、立位体前屈からの指床間距離が治療前と比べて近づきます。
自律神経の機能が改善することで、指先の皮膚温度が上昇していきます。
血管は自律神経によって支配されているため、自律神経の機能がおかしくなると冷えやほてりなどがあらわれます。特に足の冷えの多くは、足の血管の緊張が解けないという状態で起きます。更年期障害の冷えやほてりも、自律神経が関係してあらわれるものが多くあります。
百会というツボは、頭のてっぺんにあるツボで、全身にある経絡が交わるところで、全ての臓器と繋がっているとされています。そのため、全身的に自律神経のバランスを整え、活性化してくれます。
百会は、不眠、不安が強い時、症状が長期間続いている時に効果がある、一番よく使用するツボです。
内関は、手の平側で、手首のシワから指4本分上に位置するツボで、自律神経失調症の中でも、うつ症状、不眠症、車酔い、あがり症などの症状のによく使われています。
内関を刺激することで、普段から精神安定をもたらし、普段から冷静さを保てるようになります。また、百会と合わせて使用することで相乗効果が生まれます。
心配性な方、トラウマがフラッシュバックしてしまうような方には、普段からここに極短い貼るタイプの鍼を貼っておくこともあります。また、不安が強い方、寝つきが悪い方には、寝る前に自分で刺激するといいでしょう。
身柱は、肩甲骨の間、背骨の中央部に位置するツボで、子供の夜泣きやかんむし、ヒステリー、うつ病をはじめとした精神的な症状が強い時に効果のあるツボです。
身柱は、自分ではなかなか触ることができないツボですが、寒い冬や、真夏に冷房で冷えすぎた室内にいる時には、この部分にホッカイロをあてたり、服を重ねたりして温めてあげる、もしくは冷やさないようにしてあげると自律神経の乱れが緩和されます。
中かんは、みぞおちとおへそを結んだ線の中央に位置するツボで、本来は、胃腸の調子を整えてくれるツボです。
そのため、体質的に胃腸の調子が崩れ自律神経が乱れやすい方、食欲不振がある方などに効果があり、胃腸の働きを整え、消化を助けてあげることで自律神経のバランスを正常な状態へ戻してくれます。
胃腸など、消化器は、自律神経に支配されているため、自律神経失調症にお悩みの方には誰でも当てはまるような治療のツボとなります。
自律神経失調症になる原因は、現在の生活スタイルに必ず問題があり、何もしないでいるとどんどん症状が悪化、増加し深刻な状態になってしまいます。そのため、自律神経の乱れからくる症状をひとつずつ改善させていく必要があります。当院の鍼灸治療は、症状を緩和させながら、再発防止、ストレスに耐えられる体質に変えていく方針をとっています。
まずは今ある症状を楽にして、安心して生活できるよう今すぐにでも治療を開始していきましょう。
いろいろな治療院を転々とするのではなく、当院で私と一緒に根本的に治していきましょう。